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中国・台湾の銘茶たち――産地・特徴・文化を味わう

■ 烏崠単叢桂花香とは

● 鳳凰単叢(ほうおうたんそう)とは

烏崠(ウードン)は、中国広東省の鳳凰山脈にある山で、高品質な烏龍茶「鳳凰単叢(ほうおうたんそう)」の最も有名な産地です。

鳳凰単叢とは、広東省の鳳凰山で栽培されるシングルオリジンの烏龍茶で、一本の茶樹(単株)から作られることが特徴です。
※「単叢(たんそう)」とは「ひとつの草むら」という意味。

● 烏崠単叢桂花香(うーとんたんそうけいかこう)

烏崠山で栽培される鳳凰単叢の一種で、「桂花香(けいかこう)」という金木犀のような香りをもつ品種です。
桂花香は鳳凰単叢の**十大香型(代表的な香りのタイプ)**のひとつに数えられます。

  • 烏崠(うーどん):広東省鳳凰山脈にある烏崠山のこと。

  • 単叢(たんそう):一本の茶樹から作られる烏龍茶。枝が天へと伸びる樹形からその名が付きました。

  • 桂花香(けいかこう):「金木犀の香り」を意味し、焙煎や抽出で花のような芳香を引き出す香型のひとつ。

  • 単株(たんかぶ):一本の茶樹から作られる希少茶。多くは老木で、深く複雑な味わいが生まれます。

● 鳳凰山の自然と香り

「高山雲霧出好茶(高い山と霧が良いお茶を作る)」といわれるように、霧深く湿度の高い環境が香りを高めます。
烏崠山(標高1,391m)は鳳凰山系でも特に有名な高山。
この地の茶樹は成長が遅く、10年でやっと背丈ほどに育つほど。手入れに時間がかかるため、烏崠単叢は希少で高価なお茶として知られています。

■ 岩茶(がんちゃ)とは —— 武夷山が育む皇帝献上茶

● 産地と特徴

岩茶は、中国福建省・武夷山(ぶいさん)で生育する烏龍茶(青茶)の一種。
奇岩がそびえる地形と岩の礫質土壌から、茶樹は多くのミネラルを吸収し、独特の香りと味わいを持ちます。
この複雑な風味を「岩韻(がんいん)」と呼びます。

唐・宋代には皇帝の献上茶として珍重され、今でも限られた人々にしか届かない貴重茶です。
岩茶房で扱われる岩茶は、名人茶師・劉宝順(りゅうほうじゅん)氏が製茶する正真正銘の**「正岩茶」**です。

● 岩茶の種類

  • 正岩茶:武夷山の核心部「正岩区」で採れた最上級の岩茶

  • 半岩茶・州茶:正岩区以外で採れたもの

● 味と香り

  • 香り:焙煎香と花香が調和

  • 味わい:苦み・旨み・ミネラル感のバランス

  • 余韻:「岩韻」と呼ばれる深い残り香とコク

煎を重ねるごとに、香ばしさからまろやかさへと変化し、最後はすっきりとした後味に。

● 健康効果

  1. 脂肪燃焼・ダイエット効果:ポリフェノールが脂肪分解を促進。

  2. 抗酸化・アンチエイジング:カテキン・ポリフェノールが老化防止。

  3. 血糖・コレステロール改善:代謝を整え、動脈硬化を予防。

  4. リラックス効果:テアニンによる鎮静作用。

● 武夷山と岩の個性

「三十六峰九十九岩」と称される奇岩地帯・武夷山。
地殻変動によって隆起した岩場が、茶の栽培に最適な環境を生み出しています。
同じ品種でも産地の岩が異なれば味も変化し、**“岩の性格を飲む”**と言われます。

有名な岩茶「肉桂」も、産地によって「牛肉(牛欄坑)」「馬肉(馬頭岩)」などの異名を持ちます。


■ 台湾茶 —— 島が育む香りと甘み

● 台湾四大銘茶

  1. 東方美人茶:ウンカ(小さな虫)が噛んだ茶葉から生まれる蜜香。農薬を使わず作られる希少茶。

  2. 文山包種茶:花香とすっきりした味。烏龍茶と緑茶の中間的存在。

  3. 凍頂烏龍茶:台中・凍頂山産。バランス良く、清香型・濃香型の2タイプがある。

  4. 木柵鉄観音:重焙煎による芳醇な香り。安渓鉄観音とは異なる濃香型の台湾流。

● 高山烏龍茶

「阿里山」「梨山」など、山の名を冠する高山茶。
品種の基本は「青心烏龍」。
そのほか「四季春」や「金萱」など、香りや収穫特性に応じた品種があります。
特に金萱はミルクのようなクリーミーな香りが人気。

● 台湾茶の製法と香り

  • 茶葉は「包揉」と呼ばれる工程で球状に丸められる。香りを閉じ込め、保存性を高めるため。

  • 焙煎の度合いによって「清香(チンシャン)」「濃香(ノンシャン)」に分類される。

    • 清香:フレッシュで青々とした香り。流通した年に飲むのが最良。

    • 濃香:香ばしく深みのある味。熟成で「陳香(チンシャン)」が生まれる。


■ ジャスミン茶 —— 花の香りを移す「花茶」

● 概要

ジャスミンの花で香りづけしたお茶。
茶葉自体は緑茶がベースで、花を直接入れるのではなく香りだけを移すのが特徴です。

● 香りづけの工程

ジャスミンの蕾(当天花)を茶葉に重ね、花が開くときに放つ香気を吸わせます。
花を取り除いては新しい花を加える工程を繰り返し、香りを定着させます。
この工程数(窨次)が多いほど高級品とされます。
例:

  • 三窨一堤(さんいんいちてい)=3回香りづけ+最後に花を少し加える

  • 七窨・八窨などは最上級品

低級品は化学香料による香りづけもありますが、天然の香りには及びません。

● ジャスミン茶の淹れ方(緑茶ベースの場合)

  1. 茶葉5g/150ccの湯

  2. 沸騰後に70℃まで冷ました湯を使う

  3. 蒸らし時間30秒。2煎目以降は少し長めに。

緑茶の柔らかさを活かしながら香りを楽しむのがコツです。


■ まとめ

烏崠単叢桂花香をはじめ、岩茶・台湾茶・ジャスミン茶など、
東アジアの茶文化はそれぞれの土地・気候・香りに根ざしています。

岩のミネラルを含む「岩茶」、虫と共生して生まれる「東方美人」、花の香を移す「ジャスミン茶」――
どれも自然と人の技が生み出す芸術品。

お茶を一杯味わうたび、その土地の風・香り・時間までもが静かに流れ込んできます。